「保健師は縁の下の力持ち」行政保健師Ellieさんが語る仕事の魅力 【健康問題解決会議レポートvol.1】

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病院の外で、私たちの健康はどのように守られているのでしょうか。Twitterで話題の行政保健師Ellieさん、および医療機器事業を展開するレキオ・パワー・テクノロジー(株)代表の河村氏をお招きし、それぞれの立場から健康問題の解決についてご講演いただきました。また後半は参加者同士のワークを行い、具体的な健康問題ケースを行政・企業の視点から考えました。当日の様子をお伝えします。(前編)

まず始めに、行政保健師のEllieさんより、保健師になった経緯や保健師の魅力をご講演いただきました。

病棟看護師から一転、行政保健師へ

Ellieさんは、保健師になった理由を「病棟看護師の経験」「国際協力への興味」「オーストラリアでの経験」の3つを挙げて説明されました。
病棟看護師として働いていた時、入院期間中しか患者さんと関わることができなかったことから、病院外でどのように過ごしているか知りたいと感じたと言います。
またオーストラリアでのアシスタントナースの経験により、日本のよさを改めて知り、生まれ育った日本で人の役に立つ仕事をしたいと強く思ったそうです。さらにオーストラリアで、病院にかかる際に言語の壁を感じたことから、在日外国人を支援したいとも考えるようになったそうです。
病棟の看護師を経験してから、自分の描いた思いを実現するために一歩一歩挑戦を重ねているEllieさんの姿勢に、参加者全員感銘を受けました。

Ellieさんによると、看護職の中でも保健師として働いている人は3.3%とマイナーな存在だそうです。
しかし日本は国際的に見ても、病院での平均在院日数が長く、その大きな要因に慢性期の患者の入院が長引いていることが挙げられます(※1)。病院が高齢者をはじめとした慢性期の患者の受け入れを一手に担うのではなく、病院と行政が密に連携し、切れ目ない支援体制を築くことが重要です。
病院と行政の橋渡しとして行政保健師が果たす役割は非常に大きく、高齢化が進む現代社会ではますます存在価値が高まると思いました。

※運営メンバーの写真

保健師は縁の下の力持ち

保健師は、その活動の実施根拠を法律に置いています。主に政令指定都市に設置される保健所の業務は、地域保健法により14項目が定められているそうです。Ellieさんは市町村ごとに設置される保健センターで働かれており、地域住民に近い立場で関わりながら仕事ができていると言います。母子分野、感染症分野などいくつかの事業を展開する保健センターですが、Ellieさんは高齢者の方を対象として、介護相談や健康教育等の事業を担当されています。

Ellieさんはそんな保健師の仕事の魅力を、「地域住民の健康を支える縁の下の力持ち」と表現されました。看護職の特性と公務員という立場、両方の利点を生かして様々な施策を実施する保健師がいてこそ、私たちの健康が支えられているのだと改めて実感することができました。
さらに、子どもから高齢者まで色々なライフステージの地域住民に応じた関わりができること、訪問などを通して一人一人の健康問題にじっくり寄り添えること、個人の健康問題と地域の課題を結びつけ双方に働きかけられることなども魅力であるとお話頂きました。

一人とじっくり向き合うことも、地域全体の課題を解決することもできる保健師の仕事には、健康問題に多面的な視点から働きかけられる魅力があると感じました。

保健師になったことがゴールではない

Ellieさんは、保健師になったことがゴールではなく、今後も自分のやりたいことを探しながら成長していきたいと話しました。病棟看護師や、オーストラリアでの経験など、色々な世界を見たことで視野が広がったそうです。ご自身の経験から、「この職業に就く、というのをゴールにせず、自分がワクワクすることに挑戦し続けてほしい」「視野は常に広く持っていてほしい」「援助職はまず自分のプライベートを充実させることが必要」とアドバイスを投げかけました。例えば違う学部の人と仲良くなって人脈を広げておいたり、ストレスを感じたときに相談できる人を見つけておくことが重要だと言います。

保健師としてキャリアを積み、ゆくゆくは公衆衛生学修士(MPH)の取得や、在日外国人の支援を目指しているというEllieさん。職業をゴールとせず、人生を通して自分の理想の姿に向かって努力し続ける姿勢を持とうと勇気付けられました。

参考文献

※1:https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/07/dl/0102-a.pdf

行政保健師Ellieさんについて

国立大学看護学科にて看護師・保健師課程を履修。大学病院の急性期病棟にて看護師として勤務後、自身の夢の実現のためにオーストラリアでアシスタントナースとしてワーキングホリデーを経験。帰国後中小病院や施設で派遣ナースとして勤務。現在は行政保健師として活躍しています。

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