【仕事とプライベートどちらを選ぶ?】働く女性医療者の実態

女性

Vol.1の記事では、学生団体メドキャリに所属する女性医学生や女子看護学生の「将来、仕事とプライベートの両立に不安がある」という声や、メドスタが独自に行った女性医療者へのアンケートの結果をご報告しました。仕事とプライベートの両立に悩む女性医療者の現状を踏まえ、女性医療者の結婚、産休育休取得の現状や、年代別の就業状況についてご紹介します。
文章:伊藤春花

1. 結婚・出産はキャリアに響く?―専門医取得率の実態

以前の記事でも、メドスタ独自の女性医療者への取材で判明した、「専門医研修期間中は産休・育休などで研修を中断することができないと聞いた」など、結婚・出産のタイミングに関わる不安の声を紹介しました。
グラフからも分かるように、出産後に育児のため休職・離職した女性医師は、他の勤務形態をとった女性医師と比較しても専門医資格の取得率が低いというデータもあります。
民間企業では、産休育休後に、休暇前の処遇をそのまま継承した形で職場復帰できたり、職場復帰後も時短勤務制度など福利厚生が充実しています。
一方で女性医師の場合、専門医資格の取得には時間や労力がかかることなどから、育休や離職が専門医資格の取得率に負の影響を与えていると考えられます。子供を育てながらでも資格取得ができる仕組みや制度、風土の情勢が急務と言えるでしょう。

2. 診療科の選択時にも「女性であること」が影響

前回に記事でも、メドスタ編集部の女子医療学生からあがった「外科、救急、循環器内科などは男性医師の割合が高く、労働環境や労働時間の長さを見ても、将来の選択肢として考えるには不安がある」等の不安をご紹介しました。

実際に診療科別の女性医師の割合を見ても、外科や脳神経外科、救急科などでは優位にその割合が低くなっています。女子医学生は、働く女性医師のロールモデルや成功例が少ないこと、それによって自身もその科で活躍できるかどうか不安がつきまとうこと、結果的に女性医師の多い科を選択せざるを得ない、という状況に陥っているのではないでしょうか。

3. 男性医師の協力も鍵

女性医師が自身の仕事とプライベートを両立させる鍵には、どのようなものがあるでしょうか。
この図は男性医師と女性医師の勤務時間を表したもので、子供がいる場合、女性医師は勤務時間が短くなる一方、男性医師は勤務時間が長くなるという傾向を表しています。
つまり、育児を担当する女性に負担が偏り、男性は家事育児を女性に任せてその分長く働いていることになります。家計を支えるため、どちらかが働けない分どちらかが長く働くという構図は当然のようにも思えますが、どちらも満足に働けるよう配慮し合うことが、結果的に女性医師の仕事とプライベートの両立に繋がるのではないでしょうか。

これ以外にも、女性医療者の働き方に関し、国や各病院・団体が取り組みを行うべきでしょう。
次回の記事では、各組織が行っている取り組みや、私たち医学生・看護学生が行なっている取り組みをご紹介します。

参考

2018年 医師・歯科医師・薬剤師統計(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/18/index.html
2017年 第1回 医師の働き方改革に関する検討会(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000173612.pdf
女性医師の年次推移(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000069214.pdf

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