医学生が医学生に勧めしたい映画5選

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医学生の皆さん、最近は、コロナ渦で自宅にいることも多く、ストレスを溜め込みやすくなっていることと思います。そういう時は、心揺さぶられる映画などいかがでしょうか。今回は、「医学生が医学生に勧めたい映画5選」と題して、一度は、見ておきたい心温まる作品を5作品ご紹介したいと思います。

最強の二人

フランスの歴代観客者数で3位を記録した人気作。主役は、車椅子生活をしている富豪のフィリップと介護者として採用された貧しいスラム街出身の黒人のドリス。性格も育ちも趣味も全く正反対の二人が共同生活を通して、ふざけ合い、ぶつかり合いながら、強い絆で結ばれていきます。ドリスの心の素直さ、それを感じとるフィリップの感性、懐の深さがとても魅力的です。また、細部まで美しい映像と音楽の素晴らしさが、登場人物の心情に共鳴し、終盤にかけてとても心が揺さぶられます。この作品を通して、国籍・年齢・人種・病気に対して、何の偏見もなく、相手に寄り添うことの大切さを感じることができるのではないでしょうか。実話に基づいた作品ですので、モデルとなった本人達もエンドロールに登場します。二人の関係はまさに最強といえるでしょう。

ものすごくうるさくて、ありえないほど近い

9.11の悲惨な事件によって父親を亡くした少年の心情がとても繊細かつシリアスに描かれた作品。主人公のオスカーは、アスペルガー症候群を患っている少年です。オスカーは、9.11の事件から1年後にクローゼットの棚の封筒から父が残した鍵を見つけ、その鍵と封筒に書かれた「Black」という名前を頼りに父の残したものを探す旅を始めます。その後、いく先々で様々な人と出会うものの、一向に手がかりが得られず、オスカーは度々パニックに陥ります。そんな中、発声障害を抱える祖父の家の間借り人との出会いによって物語は動いていきます。トム・ハンクスとサンドラ・ブロックの父母役に加え、オスカー役のトーマス・ホーンがアスペルガー症候群を抱える難しい役所を見事に演じているところは見どころの一つと言えます。利口で不器用な少年の冒険の話でもありながら、両親の無性の愛の話でもあります。誰しも、何かしら欠けている部分があって、それ故に、人から愛を受けることの幸せを感じることができるのだと思わせてくれる作品です。

フォレスト・ガンプ/一期一会

言わずと知れた不朽の名作です。1950年代〜90年代のアメリカを舞台にしたヒューマン映画。物語は、バス停で待っているフォレストが同じくバスを待つ客に、自分の過去を回想する形で進んでいきます。少年時代、フォレストは、知能指数が他の子と比べて低く、背骨の弯曲を抱え、脚装具を付けた生活をしていました。いじめを受けていたフォレストにとって唯一の友達が近所に住む少女のジョニーでした。フォレストは、彼女のおかげで、いじめっ子から逃げる勇気をもらいます。そして、逃げるためにただ走り続けたことで、彼の足は誰よりも速くなります。この「足の速さ」によって彼の人生、そして物語は進んでいきます。本作は「一期一会」をキャッチコピーとしており、フォレストは、人との出会いを通して、様々な思いを持ち、成長していきます。

「人生はチョコレートの箱のようなもので、食べてみるまで中身はわからない」
(Life was like a box of chocolates.You never know what you`re gonna get.)
という冒頭のセリフにこの作品の全てが詰まっているように思います。更に、フォレスト・ガンプの見どころとして、アメリカの現代史に並行して話が進んでいく点が挙げられます。白人至上主義団体のクー・クラックス・クラン、アラバマ大学の黒人学生入学拒否事件、ジョン・F・ケンディ大統領兄弟暗殺事件、ベトナム戦争、ブラックパンサー党、ピンポン外交、ニクソン大統領のウォーターゲート事件、フォード大統領の暗殺未遂事件、レーガン大統領の大統領暗殺未遂事件などの多くの政治的な事件が作中に登場します。当時の、時代背景、音楽文化などを押さえた上でこの作品を見直してみると、また、違った楽しみ方ができるのではないでしょうか。

ワンダー 君は太陽

トリチャーコリンズ症候群という遺伝子疾患を患っている少年オギーを中心に、周囲の人々が心を通わしていくヒューマン映画。オギーは、生まれつきの顔の形と治療の後が原因でいじめを受けます。作中では、家族の支えや努力によって、オギーが友情を築いていく様子が描かれています。そして、主人公以外の登場人物の目線で進むサイドストーリーは斬新で、とても見応えがあります。全体を通して、一人一人に違った人生があり、皆がその主人公であるということを教えてくれるようなストーリー展開に纏まっています。特に、障害を持つ我が子への父母の愛情が伝わってくる序盤とオギーの姉の葛藤が表現される中盤はとても印象的です。また、作中に登場する先生の「その人を知りたければ、することはただ一つ、よく見ること。」というセリフには、この作品に込められたメッセージが全て詰まっているように思います。

ベンジャミン・バトン 数奇な人生

こちらの作品は、設定がとにかく面白い作品です。80歳の肉体で生まれた主人公ベンジャミン・バトン。彼の肉体は、歳が進むにつれて若返っていきます。普通の人とは異なる数奇な運命の下でベンジャミンは、様々な苦悩や葛藤を抱えます。そして、それらに向き合う彼の姿を通して、彼が周囲の人に対して持っている愛情を鮮明に感じることができます。彼には、幼馴染みで最高のパートナーであるデイジーという女性がいます。過ぎゆく時の中で、二人は何度も再会し、また離れていきます。その感動と切なさの中で、ベンジャミンは愛が何かを知っていきます。この作品の監督であるデヴィット・フィンチャーの作品といえば、「セブン」や「ゴーン・ガール」が代表的で、ホラー、スリラー作品のイメージが強いですが、本作は、人の出会いや別れ、愛や苦悩が独特の設定の中で描かれており、とても幻想的な世界観で話が展開していきます。独特の暗い雰囲気の中で進む物語。そして、主演のブラット・ピットとケイト・ブランシェットが演じる恋人関係はとても美しく、二人が同じ年齢に近づいていくシーンは見どころです。人が生きることとは何か、死ぬこととは何か、今一度考えさせられる作品だと思います。

以上が今回ご紹介する映画作品です。

終わりに

技術の発展や時代の流れに伴い、人と「交流すること」の意味は、目まぐるしく変化しています。今回の新型コロナウイルスの拡大により、その変化の速さは、更に加速したように思います。在宅勤務の増加や政府による外出自粛の要請により、普段の会話も仕事の打ち合わせもオンライン上で行うことが多くなりました。毎日あたり前のように顔を合わせていた同僚や家族とも、画面越しにコミュニケーションを取ることが普通になりつつあります。外出時は、マスクの着用が常識となり、イベントや会食も以前のようには行えない状況が続いています。個人の生きる力や価値観が試され、人との関わり方も問われる社会。今回ご紹介した5作品は、そういった社会や時代の中でも、決して変わることがないのは、「人と触れ合い、寄り添い合うことの価値」だと教えてくれる作品達だと思います。

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