医療空白地帯のない世界を目指して【健康問題解決会議レポートvol.2】

海外

病院の外で、私たちの健康はどのように守られているのでしょうか。前編では、行政保健師のEllie様のご講演より、行政から見た健康管理の在り方や、保健師の仕事の魅力についてご紹介しました。
今回は、医療事業を展開するレキオ・パワー・テクノロジー(株)代表の河村氏より、創業の経緯、および企業の立場から人々の健康管理にどのように関わっているのかお話いただいた内容をレポートします。

順風満帆な会社員生活を手放し、独立の道へ

「エコーと聞くと、臨床検査技師が行う大がかりな機械を想像するかもしれません。しかし私は自宅でPCに繋ぐだけで、自分でエコーがチェックできる世界観を作っています。」驚くべき世界観のお話から河村氏のご講演は始まりました。

河村氏は2011年にレキオ・パワー・テクノロジーを創業し、2015年よりジェネリック医療機器事業を開始しました。実は、新卒で樹脂メーカーに勤務後、8年間、管理職に就くまで勤め上げ、マイホームの購入や子どもの誕生など公私ともに充実した毎日を送っていながらも、変化のないエスカレーターに乗ってしまった気分だったと話します。

順風満帆な生活から一転、中小企業のコンサルティングを手がける新進気鋭のベンチャー企業、株式会社ドリームインキュベーターへ転職。その後、自身でBTSベンチャーズ株式会社を立ち上げ、小さなコンサルティング案件もすべて受けたと言います。その結果、日本中で、どこで誰がどんな技術を持っているのか把握できるまでになり、その頃のアセットが現在の事業に繋がっているとのことでした。

コンフォートゾーンを抜け出すことは容易ではありません。特に一定の役職を得るとそのポジションに安住してしまいがちですが、あえて挑戦する道を選んだのです。

医療空白地帯のない世界を目指して

河村氏は2012年の末より、スーダンのJICA事業でプロジェクトマネジャーを務めることになり、医療巡回者として、車に現地の医者と医療機器を乗せ各地を回ります。スーダンでは一人の医者が約7万人もの国民を支えているとも言われており、回る先々で物珍しい医者を一目見ようと人だかりができたと言います。

けれどもどんなに素晴らしい医療機器を届けても、医師が少なく使う体制が整っていないことに歯がゆさを感じていました。
そんな中、2013年に現地の保健省から医療機器の開発依頼を受け、2015年に完成したのがポケットエコーだったと言います。医療機器では病院でしか使用が叶わないため、ジェネリック医療機器を提唱し、現地の産婆さんに使用方法を教育して導入していきました。
すると一定の成果が得られたため、それからは発展途上国を中心に約50カ国へ展開していったそうです。

家庭向けのエコーの開発へシフト

現在河村氏は一般家庭向けのセルフエコーへシフトし、月単位のレンタル事業を行なっています。セルフエコーによって胎児への愛着形成を手助けでき、産後の母親によるワンオペを防いだり、産後うつの是正につながると言います。

河村氏が、エコーの発注を受けてからすぐに開発を開始できたのも、自身が創業したコンサルティング会社が日本中にコネクションがあったからです。視野を広げ、さまざまな世界を見ることで、やりたいことが見つかり、すぐに行動に移せるアセットや人脈が手に入るのだと思います。自分の興味の範囲にとどまらず、広い世界を知ることの重要性を学びました。

河村氏は「事業とは、世の中が求めていることに応えること、そしてそれが継続的に回せること」と表現しました。現在、事業をセルフエコーやPCR検査拡充事業に広げています。社会のニーズに合わせてしなやかに在り方を考えられていることに感銘を受けました。与えられた仕事をただこなすのではなく、社会の変化に目を向け、働き方を柔軟に変えていきたいと思いました。

レキオ・パワー・テクノロジー株式会社について

「壊れたものを修理する」健康管理から「壊れないように気をつける」健康管理をテクノロジーで実現するレキオ株式会社。超高齢化社会による医師看護師不足の中で、より多くの人々に健康で幸せな生活を提供することを使命としている勢いのある企業です。現在はジェネリックエコーによる発展途上国での医療の普及や、先進国でのセルフエコーの普及のために活動しています。

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