「産婦さんの力を引き出す助産師」国際支援から得た助産観~助産院編~

女性

看護学生の進路の1つとしてよく挙げられる助産師ですが、助産師は色々な場所で活躍しています。産婦人科・産科クリニック、助産院、保健所、保健センター、国際協力活動などで働いています。現在新型コロナウイルスにより、孤立しやすい社会が出来上がっています。特に妊婦さん、産後のお母さんはホルモンの変動の影響で精神的に不安定になりやすいです。そのような妊婦さん、お母さん達が安心して地域で生活できるようにサポートするのも助産師の1つの役割です。今回はJICAの青年海外協力隊での経験を活かしながら地域で活動されている助産師の中井悠野先生にインタビューをさせて頂きました。

前編の国際支援編こちら

文章 宝積 渚

主体性を引き出す自然なお産の魅力

Q中井先生にとって海外での母子保健を提供する魅力、海外でしかできないことはありますか? 

A.ガボンやベナンで出会った地元の助産師さんが医療介入をしなくても日本の助産院のような間らしい自然なお産を行い、産婦さんの良さを引き出す分娩をやっていきたいと仰っていました。でもやってみたいけどやり方が分からないとも仰っていました。ガボンやベナンで出会った助産師さんの言葉がきっかけで、帰国後はドクターがいなくても産婦さんの力を引き出せるお産、人間らしい自然なお産を学ぶために助産院で勉強させて頂いています。そういう知識を身に付けて、海外のニーズのある場所で産婦さんの良さを引き出せるようなお産を伝えていけたらいいなと思っています。

Q中井先生にとって産科と助産院の違いは何ですか?

A.産科は担当の助産師さんが日々異なったり、担当医師と話せる時間も短いです。そのため産婦さんと医療者の信頼関係を築くことが助産院と比較すると難しいです。助産院はひとりに対して時間をかけて丁寧に関わり、妊婦さんのこころと身体を整えます。助産師が妊婦さんの話を聴くだけでなく、助産師自身のことも知ってもらいながら妊婦健診を行い信頼関係を築いていきます。そのため、安心感を創り産婦さんの主体性を引き出しながら、自分の力で産んでもらえるようにすることができます。主体性を引き出すことで、自分で産めたと思えるようになり、産後の子育ても自信を持って行えるようになります。また、病院だと赤ちゃんを引き離してしまうことがありますが、ずっと一緒にいるのでおっぱいも出やすくなったり、産後の回復もスムーズになります。日本では約97%が病院やクリニック、助産院は約3%、自宅出産はもっと少ないです。助産院に行きたいとアクションを起こされる方は少ないですし、そもそも助産院の存在を知らない人が多いです。なので助産院は知る人ぞ知る場所なのです。 

行動し貪欲に挑戦してみることは大切!!

Q最後に看護学生や助産学生に何かメッセージがあればお願いします!

A.看護師さんになるにしても、助産師さんになるにしても、自分がやりたいと思ったことは絶対にやるべきです経験はその後の人生に続いていくものなので宝です。興味はあるがタイミングが無い、勇気がない、不安ということもあると思いますが、思い立った時に行動し、挑戦してみることが大切だと思います。何かをやりたいと思ったら、色んなことに貪欲にチャレンジしてみて下さい!!

オンラインインタビューでの1枚。二段目の中央が中井先生

まとめ

中井先生のインタビューを通して、助産師は産婦さんの最も近い存在であり、妊娠から分娩、産後の育児における「女性の伴走者」だと感じました。だからこそ、助産師は産婦さんの良さや主体性を引き出して、お産という瞬間を産婦さんと一緒に作り上げることができるのだと思います。中井先生の国際協力の経験が、今の中井先生や中井先生の助産観を創り出しているのです。助産師は自分の経験を自分の人生や助産観に活せる素敵な職業だと気付かされました。

~中井 悠野先生プロフィール~

中井悠野(なかいゆの)先生

大阪出身、大学病院で助産師として6年間勤務後、青年海外協力隊として中部アフリカのガボン共和国で母親学級の普及活動や中高生への性教育活動を行う。帰国後は出張専門≪ゆの助産院≫を開院し、地域の母子保健に従事する。

ゆの助産院HPのURL⇒https://mosh.jp/bebe-josanin/home

ゆの助産院InstagramのURL⇒https://www.instagram.com/yuno.josanin/

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